過去に、大規模なマラソン大会でイベントナースとして働いてたことがある。
本業の病院勤務とは全く異なる環境であり、非常に新鮮で貴重な体験になったと感じている。
現場に入ると、「院内より気楽に働けるかも」という、浅はかな考えはすぐに打ち砕かれた。
救護室には次々とランナーが運び込まれ、その場には常に緊迫した空気が流れていた。
病院での臨床経験があるとはいえ、数日の間に何人もの軽症者から重症者までを対応するのは、とてつもない責任を伴うものだった。
特に重度の脱水や低血糖、心肺停止といった緊急度の高い事態への責任は重く、緊張感は途切れることがなかった。
さらに、救護室には医師や理学療法士、他の看護師など、様々な職種のスタッフが集められていたが、その日の人員配置は時間帯によって変動する。
そのため、事前に割り当てられた人員と役割を確認し、刻々と変わる状況に応じて柔軟に対応する必要があり、気持ちが休む暇など一切なかった。
しかし、この仕事を通じて得られたものは大きかった。
なにより働いて良かったと感じたのが、新しい人脈ができたことだ。
他の病院で働く看護師や、スポーツ医療を専門とする医師と関わり、視野や交流関係が広がった。
マラソン大会を通じて仲良くなり、今でも付き合ってくれる人もいる。
休憩時間や業務後に情報交換をしたことで、自分の知識や価値観の幅も広がったと感じている。
そのほか、ゴール直後のランナーから「ありがとう」という言葉をもらったり、応急処置を施した後に元気になって帰っていく人の姿を見たりして、病院でのやりがいとはまた違う、格別な喜びを感じた。
自身のスキルを試しながら、人脈も価値観も広がるイベントナースは、さらなる成長の引き金になる場だと感じた。
看護師の仕事に飽きてマンネリ化している人は、ぜひイベントナースという働き方に目を向けてみてほしい。